モルタル壁などの塗装を行う場合、業者から弾性塗料の使用を提案されることは珍しくありません。
その際、弾性塗料がどんな特徴を持つ塗料であるか理解していないと、適切な判断が下せなくなります。
弾性塗料はひび割れに強いなどの利点を持つ一方で、使用できない外壁があるなど注意すべき点も多いからです。
きちんと納得して塗料を選ぶためにも弾性塗料の特徴、メリットやデメリットなどをチェックしていきましょう。
外壁塗装:弾性塗料とは!?
弾性塗料とはその名前の通り、弾力性を持った塗料のことです。
主材となる塗料に弾性用の硬化剤を混ぜることで、弾力性を持たせています(硬化剤を用いない弾性塗料も存在します)。
JIS規格において、摂氏20度で120%以上の伸び率があるものと定義されている塗料です。
また、明確な定義はありませんが、伸び率がおおよそ50~90%程度のものを微弾性塗料と呼びます。
ひび割れに効果を発揮する
弾性塗料はひび割れに効果を発揮する塗料です。
下地がひび割れを起こした場合でも、その弾力性を活かしてひび割れをカバーすることができます。
塗料がゴムのように伸び縮みすることをイメージしてみると分かりやすいです。
塗膜にひびが入ることを防げるので、外壁の美観を通常より長い期間キープすることができます。
弾性塗料の持つ性能
弾性塗料の持つ性能は主材となる塗料によって変わってきます。
弾力性以外の耐汚染性や防藻・防かびといった機能は、製品ごとに異なるので注意しましょう。
また、弾性塗料の持つ性能を十分に発揮するには塗料メーカーの指定通りに塗装を行うことが必須です。
ノウハウのない業者に任せると本来の性能を発揮できない場合もあるので、弾性塗料の施工実績をチェックしておくことをおすすめします。
弾性塗料を使える外壁
弾性塗料を使える外壁はコンクリートやモルタル、ALCパネルやスレート板などが挙げられます。
セメントを使った外壁向けの塗料と考えると分かりやすいかもしれません。
特にモルタル壁は弾性塗料が使われることの多い外壁です。
弾性塗料を使えない外壁
サイディングボードの外壁には弾性塗料を使うことができません。
サイディングボードは断熱材が入っていることが多く、熱がこもりやすくなります。
そのため、弾性塗料が熱で膨れてしまう可能性が高く、外壁の美観を損ねがちです。
また、サイディングボードのシーリングに生じた亀裂は、弾性塗料では対応できません。
弾性塗料のメリット
外壁塗装に弾性塗料を使うことのメリットとしては以下のような点が挙げられます。
地震などでもひび割れしにくい
弾性塗料がひび割れに効果を発揮することは既に述べましたが、この特徴は経年劣化によるひび割れだけでなく地震などの大きな揺れに対しても有効です。
地震が起きると外壁は大きく揺れ動きますが、弾性塗料は伸縮して外壁の動きについていけるので、塗膜にひび割れが起こりにくくなります。
防水性に優れている
弾性塗料は防水性にも優れています。
弾性塗料は外壁との密着性が高い上に、厚く塗られるため外壁へ雨水が当たりにくくなるからです。
また、ひび割れが起きにくいので、ひびの間から雨水が浸入してくることも防げます。
モルタル壁の寿命が延びる
モルタル壁は乾燥による収縮などが原因で、他の材質よりひびが入りやすい外壁です。
弾性塗料を使えば、外壁の表面にひび割れが起きることを防げるため、モルタル壁の寿命を延ばすことができます。
弾性塗料による外壁塗装を定期的に行えば、半永久的にモルタル壁を維持することも可能です。
弾性塗料のデメリット
弾性塗料にはデメリットも存在します。
具体的なデメリットとしては以下のような点が挙げられます。
耐用年数が短い
弾性塗料には、耐用年数が短いというデメリットがあります。
主材となる塗料の種類によっても変わってきますが、同じ系統の弾性塗料ではない塗料と比べると耐用年数は短めです。
塗り替えの頻度が通常よりも多くなるため、手間やコストパフォーマンスの面で劣ります。
耐用年数を長くすることもできるが…
工法によって弾性塗料の耐用年数を長くすることもできますが、そのためには塗料を何度も重ね塗りする必要があります。
そのため、耐用年数を長くする場合の施工費用は通常より高額になります。
1年あたりの費用で計算しても割高になることが多いので、注意しましょう。
弾性塗料を使用した3つの工法
外壁塗装に弾性塗料を使用する場合、以下の3つの工法のいずれかを選ぶことになります。
複層弾性塗料
複層弾性塗料工法は5つのプロセスを踏む工法です。
シーラーで下塗りをした後、弾性を持つ塗料で中塗りを2回行い、さらに別の系統の塗料で上塗りを2回重ねます。
塗る回数が多いので施工にかかる費用は高めになりますが、弾力性が維持できる期間は3つの工法の中で一番長いです。
単層弾性塗料
単層弾性塗料工法は3つのプロセスを踏む工法です。
シーラーで下塗りをした後、弾性を持つ塗料で上塗りを2回行います。
施工費用は複層弾性塗料より安くなりますが、弾力性は弱まるので注意が必要です。
微弾性塗料
微弾性塗料工法は3つのプロセスを踏む工法です。
シーラーではなく微弾性フィラーで下塗りをした後、上塗りを2回重ねます。
微弾性フィラー自体の弾力性の持ちはあまり良くありませんが、単層弾性塗料と違って上塗りに使う塗料の選択肢が広い点がメリットです。
代表的な弾性塗料まとめ
日本国内で販売させている代表的な弾性塗料としては、以下のような製品が挙げられます。
DANシリコンセラ(日本ペイント株式会社)
DANシリコンセラはシリコン系の弾性塗料です。
ひび割れ・防水性といった弾性塗料のメリットに加え、耐汚染性や防藻・防かび機能も高い性能を持っています。
他のシリコン系塗料と比べると、施工にかかる費用は高めです。
セラミクリーン(エスケー化研)
セラミクリーンはシリコン系の弾性塗料です。
エスケー化研のオリジナル技術による弾性セラミックシリコン樹脂を用いることで、耐久性が大幅にアップしています。
DANシリコンセラと同様、低汚染性や防藻・防かび機能もばっちりです。
シリコンテックス(関西ペイント株式会社)
シリコンテックスはアクリルシリコン系の弾性塗料です。
従来の弾性塗料に水性アクリルシリコン樹脂を加えることで、耐候性が高くなっています。
塗装が乾きやすいという点も施工期間の短縮につながり、便利です。
EC-5000PCM(株式会社アステックペイントジャパン)
EC-5000PCMはアクリル系の弾性塗料です。
他のアクリル系塗料と比べて耐用年数が長いというメリットを持ちます。
また、ナノセラミック粒子によって遮熱性を持つことも魅力です。
ただし、汚れにはやや弱いというデメリットもあります。
単層弾性塗料ばかり勧めてくる業者は注意!
弾性塗料を用いた外壁塗装で、単層弾性塗料ばかりを勧めてくる業者には注意しましょう。
単層弾性塗料は値段が安い上、水を加えてかさ増しすることもできるからです。
単層弾性塗料のメリットだけを強調してくる場合、使用する塗料の缶数に不自然な点がないかどうか厳しくチェックしてください。
また、複数の業者で見積もりをとってみるのも信頼できない業者を見抜くことに役立ちます。
外壁塗装を長持ちさせる弾性塗料とは!?特徴やメリット・デメリット~まとめ~
まとめ
弾性塗料の特徴、メリットやデメリットについて解説しました。
モルタル外壁のひび割れが気になる場合などに便利な塗料ですが、どんな状況でも使えるわけではないことは覚えておきましょう。
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