外壁塗装をする際は外壁塗装用の塗料を使うことになりますが、一口に塗料といってもその種類はさまざまです。
一見すると同じように感じられる塗料ですが、配合されている合成樹脂や採用されている技術によってその特徴は大きく異なります。
自宅の外壁に適した製品を選ぶためにも、それぞれの塗料のメリット・デメリットについて把握することが大切です。
今回の記事では外壁塗装で使用される塗料の種類をすべて解説していきます。
まずは塗料の基本を知ろう
外壁塗装で使用されるさまざまな塗料についてチェックする前に、まずは塗料の基本を知っておきましょう。
塗料に共通する情報を把握しておくことで、それぞれの製品の特徴を理解しやすくなります。
塗料とは
外壁塗装で使用される塗料は、合成樹脂や顔料、溶剤などを混ぜて作られるものです。
外壁の色や模様に関係するだけでなく、耐久性や低汚染性などさまざまな機能を持っています。
ペンキと違って家を保護する役割も担う存在であることを知っておきましょう。
塗料は使用する合成樹脂の種類によってかなり特徴が異なってきます。
基本的には混ぜる合成樹脂によって塗料のグレードが決まると考えてOKです。
アクリル塗料
アクリル塗料は合成樹脂としてアクリル樹脂を混ぜた塗料のことです。
数ある塗料の中でランクが一番低い塗料で、その分価格は安めになっています。
以前は使用率が高い塗料でしたが、現在は他の種類の塗料の値段が安くなり価格差が小さくなってきたために使われる機会は少ないです。
・耐用年数
アクリル塗料の耐用年数は5~7年程度です。
一番耐用年数が短い塗料なので、塗り替えの回数は他の塗料よりも多くなります。
・代表的な製品
セラミクリーン(エスケー化研)
オーデグロス(日本ペイント)
アレスアクアグロス(関西ペイント)
アクリル塗料のメリット・デメリット
アクリル塗料のメリットは製品価格が安いことです。
そのため、費用をあまりかけずに低コストで塗り替えをしたい人におすすめします。
劣化が早いため塗り替えの頻度が高くなるというデメリットもありますが、塗り替えるたびに好みの色で塗り直すこともできるのでメリットとして捉えることも可能です。
アクリル塗料は発色が良くはっきりとした色合いを出しやすいので、一定期間ごとに自宅のイメージを変えたいという人に適した塗料となっています。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は合成樹脂としてウレタン系樹脂を混ぜた塗料のことです。
アクリル塗料の次に安い価格で購入できる塗料となっています。
木製の外壁や鉄製の部分に塗ることもできるので、現在でもさまざまな場所で使用される塗料です。
・耐用年数
ウレタン塗料の耐用年数は8~10年程度です。
アクリル塗料よりは長めですが、塗料の平均的な耐用年数と比べると短めになっています。
・代表的な製品
クリーンマイルドウレタン(エスケー化研)
水性ファインウレタンU100(日本ペイント)
アレスアクアレタン(関西ペイント)
ウレタン塗料のメリット・デメリット
ウレタン塗料のメリットは光沢感があり、艶のある仕上がりにしやすいという点です。
外壁に高級感を出したい場合に使うことをおすすめします。
また、弾性があるのでヒビが入りにくく、塗装作業もしやすい塗料です。
価格が安い点もメリットとなりますが、コストパフォーマンスの視点ではデメリットになることもあるので注意してください。
紫外線に弱いので、光沢の減少や変色が起こりやすい点もデメリットです。
汚れやすいことも知られていますが、最近は低汚染性を発揮するウレタン塗料も販売されるようになっています。
シリコン塗料
シリコン塗料は合成樹脂としてシリコン系樹脂を混ぜた塗料のことです。
価格と耐用年数のバランスが良く、塗り替えで一番人気の高い塗料となっています。
製品のバラエティも豊富で、塗料の色も多くの選択肢から選ぶことが可能です。
施工実績の多い塗料なので、塗装業者に外壁塗装を依頼する際はシリコン塗料を提案されることが自然と多くなります。
・耐用年数
シリコン塗料の耐用年数は10~15年程度です。耐久性が良いので塗り替えの頻度を減らすことができます。
・代表的な製品
クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)
ファインシリコンフレッシュ(日本ペイント)
セラMシリコン3(関西ペイント)
シリコン塗料のメリット・デメリット
シリコン塗料のメリットは価格と耐久性のバランスの良さです。
アクリル塗料やウレタン塗料よりも塗装にかかる費用は高いですが、1年あたりの費用で考えるとシリコン塗料の方が安いケースが多くなります。
汚れが付着しづらく光沢感をキープする力も強い塗料なので、長い期間外壁の外観を維持できる点も大きなメリットです。
反面、シリコン塗料にはひび割れが起きやすいというデメリットがあります。
地震などで外壁の振動が多い地域では、実力を発揮できないかもしれません。
また、塗装が難しい塗料でもあるので、塗装業者の腕前が仕上がりに大きく影響する点にも注意が必要です。
ラジカル塗料
ラジカル塗料はラジカル制御型の酸化チタンと光安定剤を使った塗料のことで、ラジカル制御塗料と呼ばれることもあります。
塗膜の劣化の原因となるラジカルという物質をできるだけ発生しないようにすることで、塗装の耐久性を高めている塗料です。
最近登場した塗料ですが、各メーカーが研究・開発を進めており、今後注目が集まっていく製品であることは間違いありません。
・耐用年数
ラジカル塗料の耐用年数は12~15年程度と比較的長めです。
チョーキング現象が起きにくいので、頻繁に塗り替える必要がありません。
・代表的な製品
エスケープレミアムシリコン(エスケー化研)
パーフェクトトップ(日本ペイント)
アレスダイナミックトップ(関西ペイント)
ラジカル塗料のメリット・デメリット
ラジカル塗料のメリットは耐久性や耐候性、防カビ性や防藻性などさまざまな機能に優れている点です。
金属サイディングやモルタルをはじめ、下地の種類を問わず塗装できる点も優れています。
ただし、ラジカル制御型酸化のチタンは白色顔料なので、外壁を濃い色で塗装したい場合には向きません。
また、ラジカル塗料は新しい種類の塗料であるため、取り扱っていない外壁塗装業者も多いです。
取り扱っていた場合でも施工実績の少ないケースがあるので、注意しましょう。
ピュアアクリル塗料
ピュアアクリル塗料は、アクリル塗料の中でもアクリル樹脂の純度を高めた塗料のことを指します。
アクリル塗料は他の塗料より耐久性で劣りますが、その原因は不純物の存在です。
ピュアアクリル塗料は不純物を排除することで塗料の耐久性を上げています。
・耐用年数
ピュアアクリル塗料の耐用年数は15年以上です。
フッ素塗料と同じレベルの耐久力が期待できるので、塗り替えの回数をかなり減らすことができます。
・代表的な製品
EC-5000PCM(アステックペイントジャパン)
ピュアアクリル塗料のメリット・デメリット
ピュアアクリル塗料には高い耐久性に加え、防水性や伸縮性、遮熱性といったメリットがあります。
2回目以降に塗り直す場合は上塗りだけでも大丈夫なので、メンテナンスの費用が安くなる点も大きなメリットです。
ただし、初期費用がシリコン塗料などと比べて高くなりがちというデメリットもあります。
また、研修を受けた職人しか塗装を行えない塗料である点もデメリットです。
塗装業者に依頼する際はピュアアクリル塗料の施工経験を確認しておく必要があります。
フッ素塗料
フッ素塗料は合成樹脂としてフッ素系樹脂を混ぜた塗料のことです。
塗料としてのグレードは高く、値段が高い代わりに非常に優れた耐久性を発揮します。
ビルなどの大きな建物の塗装に使われることが多いですが、メンテナンスの頻度を減らすため一般住宅の塗装にも採用されることのある塗料です。
・耐用年数
フッ素塗料の耐用年数は15~20年程度です。
かなり寿命の長い塗料なので、塗り替えの回数を減らしたい場合にはまず選択肢に入ってくる塗料となっています。
・代表的な製品
クリーンマイルドフッソ(エスケー化研)
ファイン4Fセラミック(日本ペイント)
ルミステージ(関西ペイント)
フッ素塗料のメリット・デメリット
フッ素塗料のメリットは何といってもその高い耐久性です。
フッ素塗料は密着性が高いため、塗装と外壁の間に隙間が生まれにくく長期間家を保護することができます。
紫外線に強い、防カビ・防藻機能があるなど、その他の点でも多くのメリットを持つ塗料です。
また、親水性を持つので外壁に付着した汚れを雨水で洗い流しやすいというメリットもあります。
一番のデメリットは、外壁塗装にかかる費用が高くなる点です。
1年あたりの費用で考えると安い場合もありますが、一度にまとまったお金が必要になることは否定できません。
また、フッ素塗料は艶なしタイプが存在せず、最低でも3分艶以上の製品しか選べません。
外壁に艶を出したくないという人にとっては大きなデメリットです。
光触媒塗料
光触媒塗料は機能性の高い次世代型の製品として注目されている塗料です。
日光が当たることで起きる化学反応で汚れを分解するセルフクリーニング機能を持っています。
他にも空気を浄化するなど、他の塗料にはない特徴を持つ塗料です。
・耐用年数
光触媒塗料の耐用年数は15~20年程度です。
フッ素塗料と同じく高い耐久性を持つので、塗り替えの回数を減らすことができます。
・代表的な製品
ピュアコートANプラス(ピアレックステクノロジーズ)
オプティマスホワイトペイント(オプティマス)
光触媒塗料のメリット・デメリット
光触媒塗料のメリットは、やはりセルフクリーニング効果があることです。
光触媒塗料に太陽光が当たると活性酸素が発生し、汚れを分解することができます。
同時に除菌や防カビ・防藻といった効果も期待できるので、外壁の外観を綺麗に維持しやすいです。
フッ素塗料と同様に親水性もあるので、汚れを雨水で洗い流すこともできます。
光触媒塗料のデメリットは塗装にかかる費用が高いことです。
塗装の色が淡い色合いに限定される、日光の当たらない場所ではセルフクリーニング効果が十分に機能しない、屋根や木製の外壁には塗ることができないといった欠点もあります。
光触媒塗料の塗装には技術力が必要なため、依頼する業者の選択肢が狭くなることにも注意しておきましょう。
遮熱・断熱塗料
遮熱・断熱塗料は、太陽光の熱を反射したり遮断したりする機能を持った塗料です。
太陽光による室温上昇を抑えたい場合などに使用されます。
・耐用年数
遮熱・断熱塗料の耐用年数は10~20年程度です。
遮熱塗料より断熱塗料の方が耐用年数が長い傾向にあります。
・代表的な製品
ガイナ(日進産業)
ミラクールウォールMK(ミラクール)
遮熱・断熱塗料のメリット・デメリット
遮熱・断熱塗料は室温上昇を抑える効果を持つため、光熱費を節約できるというメリットがあります。
熱を伝導しにくいので、外壁への熱の影響を抑えて寿命を長くすることも可能です。
ヒートアイランド現象を抑える効果もあるので、環境に配慮したいという人にもおすすめします。
塗料の価格が高いというデメリットがありますが、自治体によっては省エネに関する補助金を受け取ることが可能です。
ナノテク塗料
ナノテク塗料はナノテクノロジーを活用したナノコンポジットエマルション樹脂を混ぜた塗料です。
製造時に排出される二酸化炭素を削減できるため、環境に優しい塗料として知られています。
また、樹脂同士の隙間が小さいので汚れが入り込みにくいという特徴も持つ塗料です。
・耐用年数
ナノテク塗料の耐用年数は10~15年程度です。シリコン塗料と同じ程度の耐用年数となっています。
・代表的な製品
ナノコンポジットW(水谷ペイント)
ナノテク塗料のメリット・デメリット
ナノテク塗料は塗膜に超微粒子シリカが分散しており、ガラスのような性質を持っています。
そのため、汚れの侵入を防ぐとともに、雨水で付着している汚れを洗い流すセルフクリーニング効果が期待できる塗料です。
また、変色しにくい、燃えにくい、乾きやすいなどのメリットもあります。
ホルムアルデヒドの放散を抑えることができるので、シックハウスを心配する人にもおすすめの塗料です。
ただ、ナノテク塗料は新しい種類の塗料であるため、製品の価格はどうしても高めになってしまいます。
取り扱っている塗装業者が少ない点もデメリットです。
セラミック塗料
セラミック塗料はセラミック成分を配合した塗料のことです。
耐久性の高いセラミック成分を使っているので、塗膜の寿命も長くなります。
遮熱・断熱塗料や無機塗料も、広い意味ではセラミック塗料のカテゴリに含まれる塗料です。
・耐用年数
セラミック塗料の耐用年数はベースとなる塗料によって変わります。
セラミック塗料を選ぶ際には使用している合成樹脂の種類をチェックしましょう。
・代表的な製品
水性セラミシリコン(エスケー化研)
アプラウドシェラスタ-NEO(日本ペイント)
セラミック塗料のメリット・デメリット
セラミック塗料はセラミック成分を配合することで耐久性や耐熱性、耐候性などが高くなっています。
親水性が高く、セルフクリーニング効果が期待できる点もメリットです。
外壁の見た目を石壁や砂壁のようなデザインにできる点も優れています。
通常の塗料よりも硬いためにひび割れが発生しやすい点が分かりやすいデメリットです。
また、セラミック塗料のメリット・デメリットは製品ごとの違いが大きいため、塗料選びの際は注意してください。
無機塗料
無機塗料は通常の塗料に石やレンガといった無機物のパウダーを混ぜた塗料のことです。
無機物を混ぜることで塗膜の劣化を抑えられるため、寿命がかなり長い塗料となっています。
・耐用年数
無機塗料の耐用年数は20~25年程度です。
すべての塗料を比較した場合でもトップクラスの耐用年数を誇っています。
・代表的な製品
セラミタイトペイント(エスケー化研)
クリスタコート (日本ペイント)
ムキフッソ(関西ペイント)
無機塗料のメリット・デメリット
無機塗料のメリットはフッ素塗料を超える耐久性の高さです。
チョーキング現象も起こりにくく、メンテナンスの回数を最低限に抑えることができます。
雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング効果や防カビ・防藻機能も期待できるため、汚れにくい点もメリットです。
ただし、無機物を配合している分塗料の価格は高めになります。
ひび割れしやすい、艶なしタイプの製品が存在しないといった点も気になるデメリットです。
また、無機塗料の耐用年数は20年以上とされていますが、登場からまだ20年経っていないので本当にそれだけの耐久性があるかはまだ実証されていません。
外壁塗装の塗料の選び方と注意点
各塗料の特徴は説明した通りですが、実際にはどのように塗料を選べばよいのでしょうか?
外壁塗装の塗料の選び方と注意すべきポイントを紹介します。
耐用年数はあくまで目安
ここまで塗料の耐用年数を紹介してきましたが、その数字はあくまでも目安です。
塗装する外壁の状況によってはもっと短くなったり長くなったりする場合もあります。
耐用年数をそのまま鵜呑みにするのではなく、実際の環境に応じたメンテナンスを考えてください。
条件に適した塗料を選ぼう
外壁塗装に適した塗料は外壁に使われている素材や日当たりの良さ、住宅のある地域などによって変わってきます。
それぞれの塗料の特徴を把握した上で、条件に適した塗料を選ぶようにしてください。
条件を考慮せずに塗料選びを進めてしまうと、後から思わぬ問題に遭遇する可能性が高まってしまいます。
専門業者と相談して決めよう
外壁塗装に使用する塗料は専門業者と相談しながら決めるのがおすすめです。
これまでの豊富な施工実績を元に適した塗料を提案してもらうことができます。
ただ、こちらの知識不足につけこんで高い塗料を使わせようとする悪徳業者もいるので注意してください。
複数の業者に相談すれば、費用対効果の悪い塗料を使う悪徳業者を避けやすくなります。
外壁塗装で使用される塗料の種類をすべて解説します!~まとめ~
外壁塗装に使われる塗料の特徴や耐用年数、メリット・デメリットについて解説しました。
塗装する実際の状況によって適した塗料は変わってくるので、業者と相談しながらベストな塗料を選んでみてください。
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